Live2D制作の前準備である、キャラクター画像の"顔パーツをそれぞれのレイヤーに分割する"という作業を効率化するためのツールを作成しました。

Live2Dを制作するためには、キャラクターイラストの目、口、髪の毛、などのパーツを予め別レイヤーに分割して用意しておかなくてはいけません。しかし、レイヤー分けしていない既存の画像をLive2Dに取り込んで動かしたい場合には、手作業でパーツごとにレイヤー分けをする必要があります。その作業はとても時間がかかり、面倒であるため、このツールにより、対話的前景領域抽出のgrabcutのアルゴリズムとアニメ画像の顔認識のプログラムをベースとして、目、鼻、口などの顔パーツを認識し、自動で切り取りを行うことを目的としました。

• grabcut_auto - grabcutのプログラム をベースに作成したプログラムgrabcut_manual.pyに顔認識の機能を追加しました。

  • マウスで描写することによって、前景領域と背景領域を選択する機能
  • 顔パーツ(右目、左目、鼻、口、前髪、顔)を顔認識によって認識し、前景領域抽出を行う機能
  • 出力画像をクロップして、それぞれのパーツごとの名前を付けて透過で保存する機能
  • 目の切り取りを選択後、白目部分も切り取り可能に
  • 鼻の自動切り取り

• landmark.py - アニメ顔用のランドマーク検出プログラム をベースとして、検出した顔ランドマークの座標をもとに、それぞれのパーツごとの座標設定を追加しました。

  • 右目、左目、鼻、口、顔、前髪それぞれの座標設定
  • 矩形で囲む座標4点を設定

コマンドラインにて以下を入力します。抽出する顔パーツは"right_eye", "left_eye", "nose", "mouth", "face", "bangs"のうちのどれかを選んで入力します。顔パーツを選択しないで実行した場合、デフォルトで右目が選択されます。 python grabcut_auto.py <画像ファイル名> <抽出する顔パーツ>

1.入力ウィンドウと出力ウィンドウが開きます。  
2.入力ウィンドウ上で、抽出する顔パーツが矩形で囲まれます。  
3.'n'を数回押すことによって前景抽出を行います。  
4.以下のキーを入力し、前景領域と背景領域をマウスによる描写で選択し、'n'を押すことで抽出したい部分を調整することができます。  

Key '0' - 明確な背景領域をマウスで描写
Key '1' - 明確な前景領域をマウスで描写
Key '2' - 曖昧な背景領域をマウスで描写
Key '3' - 曖昧な前景領域をマウスで描写
key '4' - 白目を前景抽出する
key '5' - "nose"を選択して鼻を前景抽出する
Key 'n' - 前景抽出をアップデートする
Key 'r' - リセット
Key 's' - 出力を保存
key 'q' - 終了

• python 3.7.6
• Visual Studio 2017
• Windows 10

• opencv-python
• torch-python
• checkpoint_landmark_191116.pth.tar(顔検出の為のカスケードファイル)

研究室仮配属の制作課題にて3人チームで作成しました。

• 制作期間
  • 約2か月
• 主な担当箇所
  • 鼻、前髪、顔の座標設定、切り取り
  • key'5'により鼻の前景領域を自動で抽出し、クロップして保存する機能
  • 主な保存機能（透過保存、出力画像の保存、マスクの保存など）
  • grabcut_manual.pyの作成
  • 使用したイラストの制作
  • Live2Dの制作